WEBINAR ARCHIVE
サイエンスとアートが出会う5日間
量子芸術祭(Qfes)が、2025年3月10日(月)〜14日(金)にオンライン上で開催されます。3回目となる今年は、量子ビギナーからプロフェッショナル、学生向けまで合計9回のウェビナーを開催。誰もが自宅やオフィスから気軽にご参加いただけます。
テーマは、量子の世界を科学と芸術の両面から探求し、未来の社会における量子技術の可能性を示すこと。国内外の研究者とアーティストの対話やプロジェクト紹介のほか、量子のふるまいを表現したインタラクティブな作品発表も予定しています。詳細は下記をご覧ください。
ウェビナー開催期間
2025年3月10日(月)〜14日(金) 12:00〜13:00/18:00〜19:00
*事前登録不要
*ウェビナーでは、ミーティングアプリ「Zoom」を使用します
SCHEDULES
WEBINAR
DATE
2025.3.10 MON.
2022年にスタートした量子芸術祭も今年3回目となりました。
初日は、本芸術祭の目的、量子コンピュータ研究が抱える課題、アートとサイエンスをつなぐ活動の意味についてご紹介します。
1
12:00-13:00
水野弘之(日立製作所 基礎研究センタ主管研究長 兼 日立京大ラボ長)×青木竜太(芸術監督・社会彫刻家)×
藤原 大(量子芸術祭総合監督)
JST
2025.3.11 TUE.
量子テクノロジーにアートが求められる理由
アーティスト/フューチャリスト、エイミー・カールの視点から
量子テクノロジーと社会について考えるとき、どうしてアートが必要なのでしょうか? 量子を題材にしたアーティスト・イン・レジデンス・プログラムで知られる「Studio Quantum」で作品を制作したエイミー・カールに、その活動や考えについてうかがいます。
(使用言語:英語)
2
12:00-13:00
エイミー・カール(アーティスト/フューチャリスト)×森 旭彦(サイエンスライター)
JST
©️Amy Karle
流通にのる前のプラスチック製品に情報を記載し、その管理情報を衛星データやブロックチェーンを用いて追跡・収集・分析することで、プラスチックの再利用を実現するためのクリティカルなプロジェクトです。リサイクル後にでき上がる世界共通の「コモン・プロダクト」も提案します。さて、未来に誕生する量子コンピュータを用いるとどうなるでしょうか?
3
12:00-13:00
飯場康三、米原丈博、本木裕介、中村健作(三井化学株式会社)×金本成生(株式会社スペースシフト)×羽場廉一郎(株式会社シグマアイ)×藤原 大、ジョンシリ・ラハット(DDI)
JST
量子芸術とは何か? どのような表現の可能性があり、また私たちにどのような影響を与えるのでしょうか。メディアアートの世界を牽引するZKM(カールスルーエ・アート・アンド・メディアセンター)内にある現代技術の新たな表現を学際的に探求する「Hertzlab」。同ラボ統括責任者のティナ・ロレンツとの対話を通じて、量子芸術の可能性を探求します。
(使用言語:英語)
4
18:00-19:00
ティナ・ロレンツ(ZKM 芸術的研究開発部門「Hertzlab」統括責任者)×青木竜太(芸術監督・社会彫刻家)
JST
2025.3.12 WED.
数学や物理はからきしダメと言いながら、「未知なることを知りたい」「目に見えないものを視覚化したい」と漫画家のしりあがり寿さんが、研究者の水野弘之さんに量子について、量子コンピュータについて尋ねます。そして「量子」「量子ビット」「重ね合わせ」「もつれ」などの視覚化を試みます。
5
12:00-13:00
しりあがり寿(漫画家)×水野弘之(日立製作所 基礎研究センタ主管研究長 兼 日立京大ラボ長)
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Q-STAR(一般社団法人量子技術による新産業創出協議会)参加企業のメンバーは、量子コンピュータのユースケースを創造するため、アートとジャーナリズムを複合させた思考実験に取り組んでいます。同プロジェクトのディレクター陣が中間発表を行います。
6
18:00-19:00
山内康裕(一般社団法人MANGA総合研究所 副所長)×
青木竜太(芸術監 督・社会彫刻家)×森 旭彦(サイエンスライター)
JST
2025.3.13 TUE.
「重ね合わせ」「量子もつれ」「グローバーのアルゴリズム」など、量子コンピュータに関連する量子の基本的なふるまいやアルゴリズムをアートの視点で見てみたらどうなるでしょうか。量子に初めて触れた人でも、見方を変えることで、その不思議な世界を楽しむことができるかもしれません。そんな体験ができる60分です。
7
12:00-13:00
高村 剛(空気株式会社)×東京都立 立川高等学校の学生のみなさん×的場浩介、田中 咲、勝部瞭太、白澤貴司(株式会社日立製作所 研究開発グループ)
JST
Atelier Anthropologyの中村 寛さんと量子芸術祭総合監督の藤原 大さんによる対談です。量子コンピュータ研究開発に内包される人類・科学・芸術・産業・政策といった、これからの社会に大きな影響を与えるとともに複雑に絡み合うテーマを、まるでドレッシングをかけて解きほぐすように語り合います。
8
12:00-13:00
中村 寛(文化人類学者、デザイン人類学者)×藤原 大(量子芸術祭総合監督)
JST
2025.3.14 FRI.
さて、今年の量子芸術祭はいかがだったでしょうか。最終日はウェビナーに参加されたり、ウェブ上で作品をご覧いただいたりしたみなさまからのフィードバックをもとに、5日間を振り返ります。さらに次回の量子芸術祭に向けて現在進行中のプロジェクトなど、その展望をご紹介します。
9
12:00-13:00
白澤貴司(株式会社日立製作所 研究開発グループ)×上條昌宏(編集者、ライター)×森 旭彦(サイエンスライター)
JST
PANELIST PROFILES
水野弘之|Hiroyuki Mizuno
日立製作所 研究開発グループ 基礎研究センタ
主管研究長 兼 日立京大ラボ長
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1993年に日立に入社しマイコンなどの集積回路の研究開発に従事。2002年~2003年に米スタンフォード大客員研究員。2015年に量子インスパイア技術「CMOS Annealing」を発表し、2020年にムーンショット型研究開発事業にてシリコン量子コンピュータ研究のプログラムマネージャー就任。日立京大ラボでは新価値やAIの社会実装の研究を哲学者らとともに推進。工学博士。米国電気電子学会(IEEE)フェロー。
青木竜太|Ryuta Aoki
芸術監督、社会彫刻家
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芸術と科学技術の中間領域で作品制作をしながら、研究開発や展覧会などの企画・設計・指揮を行う。主な展示に「北九州未来創造芸術祭」、「千の葉の芸術祭」、「DESIGNART」がある。「生態系へのジャックイン展」では芸術監督として活動。第25回文化庁メディア芸術祭でアート部門ソーシャル・インパクト賞を日本人グループとして初受賞。
藤原 大|Dai Fujiwara
クリエイティブディレクター
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2008年DAIFUJIWARAを設立し、湘南に事務所を構える。コーポレイト(企業)、アカデミック(教育)、リージョン(地域)の3つのエリアをフィールドに、多岐にわたる創作活動を続ける。独自の視点を生かし、企業のオープンイノベーションにおける牽引役としても知られている。国内外での講演やプロジェクトなど数多く実施。多摩美術大学教授。
森 旭彦|Akihico Mori
サイエンスライター
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サイエンスと人間性の相互作用や衝突に関する社会評論をWIRED日本版などに寄稿。ロンドン芸術大学大学院にてメディアコミュニケーション(修士)を学ぶ。大学院在学中に BBCのジャーナリストらを取材したプロジェクト『COVID-19 インフォデミックにおけるサイエンスジャーナリズム、その課題と進化』が国内外のメディアで取り上げられる。
エイミー・カール|Amy Karle
アーティスト、フューチャリスト
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デジタル、クオンタム、生物システムの交差点で活動するアーティストであり、未来を探求するフューチャリストでもある。彼女の作品は、テクノロジーの進化が人間に与える影響を問い、社会や医療の発展に貢献することを目的としている。ポンピドゥー・センターや森美術館など54の国際展覧会で作品を発表し、BBCの「最も影響力のある女性100人」に選出。米国国務省のアーティスト外交官も務めた。
飯場康三|Kozo Iiba
三井化学 研究開発本部 高分子・複合材料研究所 主幹研究員
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2005年三井化学に入社し、現在まで継続し要素技術研究および製品開発業務に従事。専門は計算科学と高分子成形加工。博士(工学)。
米原丈博|Takehiro Yonehara
三井化学 研究開発本部 生産技術研究所 先端解析グループ 主任研究員
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省エネルギー支援機能材、量子計算の課題に取り組む。材料設計、物質循環、反応制御、量子論に関心を持つ。以前は、大学機関、国研、民間企業において量子化学、反応動力学、非断熱電子動力学、大規模計算、MIなどの研究に取り組んだ。専門は分子科学、理論化学、光化学。博士(理学)。
本木裕介|Yusuke Motoki
三井化学 デジタルトランスフォーメーション推進本部 デジタルトランスフォーメーション企画管理部 データサイエンスグループ解析チーム チームリーダー
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2011年金融エンジニアリング・グループ入社、銀行業界のコンサルティング、システム開発に従事。2022年より現職、DX 推進および量子計算の開発に従事。
中村健作|Kensaku Nakamura
三井化学 研究開発本部 生産技術研究所 先端解析グループ 主任研究員
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東北大学工学研究科を修了後、精密機器メーカーに入社し、AI・機械学習に関する研究開発に従事。2021年三井化学に入社し、AI・機械学習や量子計算機を活用した材料設計に関する研究開発に従事。専門は物性物理学とマテリアルズ・インフォマティクス。博士(工学)。
羽場廉一郎|Renichiro Haba
シグマアイ 技術部 兼 経営企画部 リサーチャー
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2022年より東北大学大学院情報科学研究科博士後期課程へ進学。専門は量子アニーリング。同年にはシグマアイへ入社し、プロジェクトリーダーとして共同研究に従事。2023年からはマネージャーとして開発プロジェクトを指揮するなど活動領域を拡大。2024年より経営企画部を兼任して経営戦略の策定や組織運営にも参画。
金本成生|Naruo Kanemoto
スペースシフト 代表取締役
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1975年鳥取県米子市生まれ。神戸大学工学部卒業。少年時代は天文学者を志すが、大学在学時代にITベンチャーを起業。その後音楽業界、IT業界を経て2009年に宇宙ベンチャー、スペースシフトを起業。AIを活用した衛星データ解析ソフトウェア開発、非宇宙企業への宇宙ビジネスコンサルティングなどを手がける。
ジョンシリ ラハット|Rahut Jongsiri
デザイナー
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武蔵野美術大学 大学院 基礎デザイン学コース修了。NAP建築設計事務所を経て、UDSに入社し、空間に設置するアート作品の計画やコーディネーション、家具デザイン、ブランドのアートディレクション、UX/UIデザインまで、さまざまなプロジェクトに携わっている。
ティナ・ロレンツ|Tina Lorenz
ZKM 芸術的研究開発部門「Hertzlab」統括責任者
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オーバープファルツ州立劇場のドラマトゥルク、ニュルンベルク州立劇場のデジタルコミュニケーションコンサルタントなどを経て、2020年アウクスブルク州立劇場にデジタルシアター部門を創設。2024年からはメディアアートの世界的研究機関ZKM(カールスルーエ・アート・アンド・メディアセンター)の「Hertzlab」を率いる。
しりあがり寿|Kotobuki Shiriagari
漫画家
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1985年『エレキな春』で漫画家としてデビュー。2000年『時事おやじ2000』と『ゆるゆるオヤジ』で文藝春秋漫画賞、2001年『弥次喜多 in DEEP』で手塚治虫文化賞優秀賞を受賞。2002年から朝日新聞・夕刊で『地球防衛家のヒトビト』を連載。ギャグから社会派まで幅広いジャンルの漫画作品を手がける一方、映像、現代アートなど多方面で活躍中。2014年紫綬褒章受章。
山内康裕|Yasuhiro Yamauchi
一般社団法人MANGA総合研究所 副所長(理事)
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1979年生まれ。法政大学イノベーションマネジメント研究科修了(MBA in accounting)。2009年に「マンガナイト」を結成し、2020年に一般社団法人化。「マンガと学び」の普及や展示事業を展開。レインボーバード合同会社代表、さいとう・たかを劇画文化財団代表理事などを務める。共著に『『ONE PIECE』に学ぶ最強ビジネスチームの作り方』(集英社)、『人生と勉強に効く学べるマンガ100冊』(文藝春秋)など。
高村 剛|Tsuyoshi Takamura
テクニカルディレクター
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熊本県生まれ。九州芸術工科大学を卒業後、2003年よりKOO-KIに参加。 モーショングラフィックや3DCG映像の演出・制作を経て、インタラクティブコンテンツの企画・制作を担当。エンターテインメントと知育の融合を掲げ、映像制作で培ったノウハウを生かした体験展示の制作を手がける。
的場浩介|Kosuke Matoba
日立製作所 研究開発グループ デジタルサービス研究統括本部 デザインセンタ
ストラテジックデザイン部 デザイナー
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2009年日立製作所入社。鉄道車輛や計測・分析装置のプロダクトデザイン、UI/UXデザインを担当し、2016年より将来の社会課題を探索するビジョンデザインに従事。人視点の未来洞察「経済エコシステムのきざし」、家電・ロボットのビジョンシナリオ、神奈川県三浦半島でのフューチャー・リビング・ラボの研究を担当した。
中村 寛|Yutaka Nakamura
文化人類学者、デザイン人類学者
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多摩美術大学リベラルアーツセンター教授。Atelier Anthropology代表。KESIKI Inc.でInsight Design担当。「周縁」における暴力や脱暴力のソーシャル・デザインといった研究テーマに取り組む一方、さまざま企業、デザイナー、経営者と社会実装を行う。多摩美術大学では、サーキュラー・オフィスやTama Design UniversityのDivision of Design Anthropologyをリード。著書に『アメリカの〈周縁〉をあるく――旅する人類学』(平凡社、2021)、『残響のハーレム――ストリートに生きるムスリムたちの声』(共和国、2015)など。
白澤貴司|Takashi Shirasawa
日立製作所 研究開発グループ デジタルサービス研究統括本部 デザインセンタ
ストラテジックデザイン部 リーダ主任デザイナー
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2012年、日立製作所に入社し、情報デザイン部門在籍中はコーポレート報告書に関わるコミュニケーションデザインやブランディングなどに携わる。企画戦略ユニットにて研究戦
略立案や協創プロセス開発業務を経て、2019年より現職。デザインセンタにて、ビジョンデザインや行動変容デザイン活動に従事。
上條昌宏|Masahiro Kamijo
編集者、ライター
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1970年東京都生まれ。1992年株式会社アクシスに入社。30年近くにわたりデザイン誌『AXIS』の編集に携わる。2023年に同社退社後、現在は長野県塩尻市で暮らす。
